日本小児科学会の「新型コロナワクチン接種に関する 小児の基礎疾患の考え方 」

2022.03.05

小児の新型コロナウイルス感染症は軽症のことが多いとされていますが、

オミクロン株の流行で小児の感染者数が増加しており、特に10歳未満が増加していることが

報告されています。

このような状況から学校や幼稚園・保育所でのクラスターなどが報告されるようになりました。

国内外の知見において、小児でも2歳未満と基礎疾患のある小児患者には重症化リスクがあることが

報告されています。

そこで日本小児科学会は「5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」において

この年齢層の子供たちへのワクチンについての考え方を示しています。

ここに記載している「基礎疾患等」とは具体的に以下のものが考えられます。

接数にあたっては、メリットとデメリットを理解したうえで判断することが望ましいと考えます。

新型コロナワクチン接種にあたり考慮すべき小児の基礎疾患等
 
慢性呼吸器疾患    
 ・慢性呼吸器疾患 気管支喘息を除く  
 ・気管支喘息(コントロール不良の難治性喘息)  
 
慢性心疾患    
 ・先天性心疾患  
  症状がある、または治療ないし運動制限を受けている  
  不整脈、肺高血圧がある、または治療ないし運動制限を受けている  
  半年以内に心臓手術を予定、または過去3か月以内に心臓手術をした  
  複雑型先天性心疾患(心内修復術前)ないしフォンタン手術後  
  染色体異常、先天異常症候群、全身合併症がある  
 ・後天性心疾患、心筋疾患、不整脈、肺高血圧、冠動脈疾患  
  有症状または治療中  
  心臓・肺移植を予定している、または移植後  
  ステロイド薬や免疫抑制薬の使用など免疫低下がある  
 
慢性腎疾患    
 ・慢性腎疾患、末期腎不全 血液透析、腹膜透析を受けている  
 ・腎移植 免疫抑制療法を受けている  
 
神経疾患・神経筋疾患  
 ・脳性まひ  
 ・難治性てんかん・神経疾患  
 ・染色体異常症  
 ・重症心身障害児・者  
 ・神経発達症 マスクの着用が困難である場合  
 
 
血液疾患      
 ・急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群  
  悪性リンパ腫・ランゲルハンス細胞性組織球症、血球貪食症候群、慢性骨髄性白血病  
 ・再生不良性貧血、先天性好中球減少症などの骨髄形成不全  
 ・造血幹細胞移植後半年以降  
 ・原発性免疫不全  
 ・溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病 免疫抑制療法を受けている  
 
糖尿病・代謝性疾患    
 ・アミノ酸・尿素サイクル異常症、有機酸代謝異常症、脂肪酸代謝異常症、  
  糖質代謝異常症・ライソゾーム病、ミトコンドリア異常症  
 
悪性腫瘍      
 ・小児固形腫瘍    
 
関節リウマチ・膠原病  
 ・リウマチ性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患、血管炎症候群  
 
内分泌疾患    
 ・副腎機能不全、下垂体機能不全など  
 ・甲状腺機能亢進症  
 
消化器疾患・肝疾患等  
 ・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)  
 ・胆道閉鎖症(葛西術後)  
 ・肝移植、小腸移植後  
 ・自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎  
 ・肝硬変、肝不全  
 ・短腸症    
 
先天性免疫不全症候群、HIV感染症、その他の疾患や治療に伴う免疫抑制状態  
 
その他の小児領域の疾患等  
 ・高度肥満 (BMI30以上)  
 ・医療的ケア児  
 ・施設入所や長期入院の児  
 ・摂食障害 体重減少が著しい場合(極端にやせが進行した場合)  
   
海外での長期滞在を予定する者