結核の予防接種であるBCGワクチンが新型コロナウイルス感染に効果があるのではないかと言われています。実際にオーストラリアでは医療従事者にBCGワクチンをしようと言う臨床試験が検討されています。これはBCGワクチンを定期接種としている国の新型コロナウイルス感染による死亡者が少なくて、定期接種していないイタリア、スペイン、アメリカ、イギリス、フランスなどの死亡率が高いとの相関関係があるのが分かっているからです。
BCGワクチンは結核の予防になるだけではなく、結核以外のウイルスなどに対する免疫も高めているのは分かっています。その中に新型コロナウイルスも含まれるのではないかとも考えられています。
ただ、これには落とし穴があると大阪大学の宮坂先生は述べておられます。面白いデータを先生は示されています。それはチョコレートの消費量が多い国は、ノーベル賞の受賞者が多いと言うものです。これによりチョコレートが頭脳を良くしたと簡単に結論づけることは出来ません。もう一つのデータがあって、チョコレートの消費量が多い国は、GDPが高く、すなわち豊かな国だと言うものです。したがってチョコレートの消費が多い国は豊かな国なので教育環境が良く、そのためにノーベル賞の受賞者が多いと言う結論です。これと同じでBCGワクチン接種が新型コロナウイルスの感染抑制につながると結論づけられる訳ではありません。
BCGワクチンが新型コロナウイルスに効果があるかどうかと聞かれると、効果があるかも知れないし、ないかも知れない、今後の経緯を見てから判断が必要と思われます。ただBCGワクチンは、あくまで乳幼児のためのワクチンなので、大人が接種するなど対象外の人は受けないようにして下さい。